2005
真っ二つに割れるハリウッド構造
次世代DVD規格をめぐり、ソニーや松下電器産業の「ブルーレイ・ディスク」と東芝らの「HD DVD」が対立し、ソニーが「プレイステーション3」でブルーレイを採用し、東芝はHD DVDプレーヤーを年内に発売する見込みとなったのである。キレイ☆サッパリと真っ二つに割れてしまったが、ハリウッドの“絶対的主義”も忘れてはなるまい。ブルーレイ側は、ソニー傘下のソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)はじめ、ウォルト・ディズニーと20世紀フォックスに加え、ソニーが買収したMGMとディズニー傘下のミラマックスも支持。強みは、パソコン大手のデル・コンピュータやヒューレット・パッカード(HP)、アップル・コンピュータ、ゲーム大手のエレクトリック・アーツやヴィヴェンディ・ユニバーサル・ゲーム(VUゲーム)、あるいは日本の東宝や東映が支持したことか?
HD DVD側は、ユニバーサル・ピクチャーズ、パラマウント・ピクチャーズ、ワーナー・ブラザーズに加え、ユニバーサルと近い存在のドリームワークスとワーナー傘下のニューライン・シネマが支持。こちらは、マイクロソフトとインテルの支持で、より一層と発言力が増したという雰囲気だ。
このニオい、この顔ぶれには前兆があった。ソニー主導のネット映画配信「MovieLink」で当初はディズニーとフォックスを除く大手ハリウッドが参加していたという構図である。米国が二つに割れるとすればレッド(共和党)とブルー(民主党)の関係しかない。要は、ブルーレイ側が前者、HD DVD側が後者というわけである。
ブルーレイ陣営のディズニーがマイケル・ムーア監督の反ブッシュ映画「華氏911」を配給するはずだった傘下のミラマックスに上映を禁止させたことは有名。そのおかげで、マイケル・アイズナーCEOの“超保守的思想”に嫌気をさしたミラマックス創設者のワインスタイン兄弟が去ってしまった。
フォックスも、系列の4大TVネットワーク「FOX」が保守的で共和党寄り。親会社であるニューズ・コープのルパード・マードック会長がネオコン人脈と癒着しており、イラク戦争の報道ではワーナー傘下のニュース専門チャンネル「CNN」のオーナーであるテッド・ターナーとのバトルがあった。
ヤヤこしいのがHD DVD支持のユニバーサル事情である。親のユニバーサル・スタジオはNBCと合併し、ジェネラル・エレクトリック(GE)傘下となったが、音楽のユニバーサル・ミュージック・グループやゲームのVUゲームはフランスのヴィヴェンディ・ユニバーサル傘下のまま、ブルーレイを支持している。
拒否できない日本
どれだけハリウッドに力があるものか?ハリウッド陣営は、シングルフォーマットやコピープロテクションなどの要望が書かれた「HACリスト」と呼ばれる“ウィッシュリスト”を日本側のメーカーに提出している。細かなことだが、ハリウッド側のSPEが「コロンビア・トリスター」の旧名になってるあたり、「日本のソニーは口出しするな!」とすら感じ受けられるものだ。
それは、米国が「年次改革要望書」なる“命令書”を日本に突きつけ、同書に記載される郵政民営化など、小泉純一郎首相が命をかけて“服従”するかのごとく、次世代DVDはしたたかなハリウッド商法に主導権を握られたというわけである。まさにこれは「拒否できない日本」であるか?
いや、中国が推進する次世代DVDへのけん制もある。特に、国家が総力あげて推進する「EVD」は、「マクドナルドのような普及を目指す」とすら豪語する。最近、EVD支持の厦門夏新電子と四川長虹集団がHD DVDプレーヤーを発売すると表明したが、EVDにハリウッド陣営を引き込もうとの揺さぶりではないか?との声もある。



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" by Seirin.